人類の天敵バーテックスの攻撃がはじまる。
四国は今、神樹の力で樹海と化した。
卵型の精霊が、端末から須美の前に飛び出る。
「これが、私の精霊……勇者を支援するもの」
「まるまるしてて可愛いよね〜わっしーの精霊は。私のは〜」
園子が端末を操作する。
「はい出ましたー。カラスです〜」
「そのっち。ちゃんと鴉天狗って言ってあげて……
鴉か鴉天狗かでは大きな違いがあるわ」
「あ、そっか〜。頑張ろうね鴉天狗さん〜」
マイペースな園子の様子を見て、自分の緊張が和らいだことに須美は気付いた。
(そのっち……私の大事な友達。絶対、守り抜いてみせる)
「よ〜し、それじゃお着替えいくよ〜」
「了解! そのっち」
須美と園子は、樹海化した世界の中で勇者の姿へと己を変えた。
同時に、須美の新しい武器が発現する。
それは西暦の時代からスナイパーライフルと呼ばれているものだった。
弓以上の火力を求めた結果、辿り着いたのが銃器である。
須美は、それを聞かされてからは銃器の訓練を徹底的に行い、
撃ち方を体に染みつかせるレベルにまで昇華させていた。
使用される弾丸も勇者用の特別なものだ。
「かっこいいよね〜シロガネ」
亡き友の名前がついた武器を、園子が頼もしげに見つめる。
「安心して戦ってね。そのっちに近づく敵は私が撃ち抜くから」
「うん! スナイパーわっしーかっこいい」
二人は、目前にある大橋へ跳んだ。